2014年7月 保護者セミナー報告
- 日時
- 平成26年7月19日(土)
- 演題
- 心について、考えてみよう!
- 講師
- 福井県総合福祉相談所 精神保健福祉士 岡村久美氏
報告内容
岡村久美氏は、今年の4月に開設された福井県ひきこもり地域支援センターの担当をされています。
まず、ミニ講義として、「ひきこもる心とどう向き合っていくか」というテーマに触れられました。ひきこもり当事者にとって、大きな問題は対人関係であるということから、親子関係に焦点を当て、岡村さんが実際に支援してきた中で、ご本人や親御さんが口にした言葉を基に話されました。
親の言葉に対する子供の言い分や拒否してきた父親を許す子供の気持ち、また、ひきこもる子どもとの関わり方に困惑しながらも、親として思いやる心境などを紹介していく中で、岡村さんは支援者として、今の状況からどうやって抜け出したらよいかというヒントを下記のように例示されました。
- 人はすぐには変われない。これまでできなかったことを少しずつできるようにしましょう。
- 「働かざる者、食うべからず」 という正論やお説教は、本人を傷つけるだけのようです。
- できるだけ口を利く機会を作る。(将来の話や友人など本人が気にしていることは触れない)
- 本人が安心してひきこもっていられる環境をつくること。(自分を責めないよう居心地よく)
- 親自身が好きなことをする。生きることを楽しむ姿を子供に見せる方が良い影響になる。
- ひきこもりは長期戦、居場所を見つけるまで時間がかかるものです。(そういう覚悟が必要)
- 自助グループや居場所支援を利用する。自分だけではないという安心から心の交流が始まる。
- いろんな相談機関を尋ね、自分に合ったところを見つけましょう。
講義の最後に、「喧嘩しても仲直りできる」日常を子供たちの目にさらすことが大切だと締めくくりました。大人には、人間関係のしがらみの中で、助け合わなければならない状況があり、折り合いをつけていく営みを子どもに見せていくこと。そのことで、人間関係を修復する力を身につけ、人に対するやさしさなどの情緒が育っていくとのことです。
後半は、グループに分かれ、お互いを褒めあうワークをして、皆さんが打ち解けたところで、ひきこもっているある男性を例に、お小遣いを渡すことやインターネットばかりしていることについて、参加者の皆さんで話し合いました。その是非について、白黒つけるのではなく、具体的な事例を通じて、ご自身が話をしたり、他の方の意見が聞けたことで、皆さんは、改めて親子関係について考えさせられたという感想が多く見受けられました。
- 参加された皆さんの感想
- 他の人の家族事情が少しわかって、安心しました。
- 子どもの気持ちになって、ひきこもりのことに関して考えてみようと思いました。神経質になりがちなので、おおらかな気持ちで接したいと思います。
この記事の組織名や役職などの情報は、公開当時(2014年9月2日)のものです。予めご了承ください。