2014年3月 保護者セミナー報告

日時
平成26年3月15日(土)
演題
傷つきと回復
講師
福井大学保健管理センター准教授 細田憲一氏
報告内容

今回の親サポは、福井大学でさまざまな課題や悩みを抱えた学生の相談を受けている細田憲一氏を講師に迎え、人が傷つきから回復するまでに必要な過程をお話ししていただきました。

発達に応じた課題(発達課題)
ひとは発達段階において、その段階に応じた課題に向き合います。乳児期には周りにいるひとを見つめ、見つめ返すことで、基本的な信頼関係を持ちながら「人間っていいな。世の中っていいな」という自己肯定感を持ちます。
幼児期には仲間との遊び、学童期には集団生活を通して、思春期には自分らしさ(アイデンティティ)を確立させていきます。そして、11歳から父母には見えない世界に入っていきます。青年期には心理的親離れを迎えるのですが、それまでは行きつ戻りつしながら、成長をとげていくのです。
心は反抗と退行をくり返しながら強くなる
ある相談事例から。幼いころから我慢強く面倒見の良い優等生の男の子が、中学の中ごろからつまづき不登校になり、急に母親に甘える(退行)ようになりました。その後、短期のアルバイトを通して心身の成長をとげ、親にも反発(反抗)するようになり、復学していきました。親は子供返り(退行)するわが子に戸惑いながらも受け止め、子どもが自分らしく生きる様子を見守りました。
こころの成長では何らかの事情で、その発達課題を達成できず、強い不安や傷つき・挫折を体験すると未達成の発達課題に立ち戻ることがあります。「ひきこもり」も退行の一種です。ひとが強くなろうとするとき、反抗と退行を繰り返すと考えられています。
自立と依存
こころの成長と発達は、人との関わりのなかで育まれていきます。誰かに頼られたとき自立のスイッチが入り、依存が上手になることは自立力も高くなるのですが、最近の若者を取り巻く環境は、仲間関係が薄く、自立のチャンスが少ないようです。彼らにとって安心して語れる対象(しっかり話を聴いてくれる人)がいることはとても大切なのです。

講義の後は休憩をはさんで、先生は参加者の皆さんと具体的な相談を通じて、親として子に関わるにはどうしていけばよいかを話し合いました。

参加された皆さんの感想
依存と自立の話、思いあたります。真ん中の子は自立心旺盛で甘え上手です。上の子は要求もしないけれど、すべてに消極的です。長男を甘えさせる方法が聞きたいです。
とても痛く、苦しく、でも軽くなったような先生のお話でした。我が家にかぶっているところが多く、まるで自分の気持ちを見透かされているようです。これから自分の気持ちを客観的に見れるきっかけになりそうです。
自分も甘え下手で自立が遅かったし、子どもが小さい頃のことを忙しくてあまり覚えていないのですが、これから安心して語れる人間になり、今をしっかり楽しもうと思います。

この記事の組織名や役職などの情報は、公開当時(2014年4月30日)のものです。予めご了承ください。