2013年10月 保護者セミナー報告

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日時
平成25年10月19日(土)
演題
親の発達を考える
講師
仁愛大学准教授 森俊之氏
報告内容

今月の親サポは、大学内の心理相談室で学生や一般の方を対象にカウンセリングの経験もある仁愛大学の森先生をお招きし、参加者自身が親になって体験したプロセスをふり返りながら、親自身の発達を考えることをテーマにお話を伺いました。

親になって変わること
たいていの人は、子育てはつらかったことと楽しかったことが混在しています。過去の子育て体験のふり返りは、現在の問題点を見出すひとつのきっかけとなります。子どもをもって、親自身どんな変化があったでしょうか。

柔軟さ、自己抑制、生きがい、視野の広がりなど、親になることで親自身に心理的な変化がおこります。子どもが生まれたことの喜びや安堵から、時間が経つにつれて、子どもに対するポジティブな感情は低下するのは自然なことです。親の課題も子どもの発達にともなって変化していきます。

愛着の移行対象と洗練された自己主張
一般的に幼児にとって、母親は自分と一体であるという感覚があります。成長とともに、親と子は分離と接近を繰り返し、次第に離れていきます。その際、大切なことは行きつ戻りつするなかで一喜一憂しないこと、親は適度に見守ること、親の代用としての子ども自身が移行対象をみつけることです。移行対象は、お気に入りのぬいぐるみであったり、毛布であったりしますが、中学生であれば友達関係になっていきます。

子どもが移行対象をもてば、比較的早く分離が進みます。また、子どもの自己主張に親が無視したり、いいなりになったり、報酬や罰などの統制で対応(未熟な自己主張)するのではなく、子ども自身を尊重したり、子どもの主張にうまくやりとりできるように対応(洗練された自己主張)をすることで、さらに親子の分離をうまく促進させていきます。

通過儀礼
思春期・青年期の特徴として、身体の成長に追いつかない未熟な部分が本人のなかに混在しています。頼りたいけれど頼れる人がいない。そこで、ひきこもってインターネットやゲームに頼ってしまうこともあります。もともとこの年齢は親から離れようとする年齢であり、古来より親から子どもをひきはなす儀式(通過儀礼)が数多くありました。それほど親子の分離は難しいということです。

現在は、そのような通過儀礼はなく、成人式も形式的です。ただ、人はそれぞれに通過儀礼を行っており、不登校も一種の通過儀礼という見方もあります。通過儀礼とは今までの自分とは異なる新しい自分に生まれ変わることであり、多くの人は親子関係を変えるものとしてとらえています。

親の発達過程は子どもと徐々に分離する過程であり、分離で大切なのは親の温かな見守りと親以外のものとの関係性ということです。お話のあとのグループワークでは、それぞれに子どもの成長過程と親子の距離感を実際にグラフに描いてみて、そのときどきのエピソードを話しあいました。

参加された皆さんの感想
悩みを抱えている人がたくさんいることが分かり、自分だけではないと少し気持ちが楽になった。
自分の子育てのすべてを受け入れることが大事という先生の最初の言葉を大切にし、温かく見守っていこうと思う。
親にも友達にも頼れないから、ネットばかりしていること、あらためて理解できた。

この記事の組織名や役職などの情報は、公開当時(2013年11月30日)のものです。予めご了承ください。