2013年8月 保護者セミナー報告

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日時
平成25年8月17日(土)
演題
トラウマが人を成長させる話
講師
金沢工業大学教授 塩谷亨氏
報告内容

塩谷先生は、米国はこれまでネガティブな部分に焦点をあてた心理学から、ポジティブ心理学が取り上げられている事に触れ、大きなショックからでも人を成長させる事もあるという視点から「トラウマ(心的外傷)」が人を成長させる事を今回のテーマに、本人への家族の関わりについてお話されました。

トラウマ体験と成長
「トラウマ」というと、戦争体験や大きな災害の被災体験だけではなく、私たちの身の回りで起こる交通事故や事件の被害、病気やさまざまな人間関係が引き起こす体験もトラウマ体験と考えれば、だれの身にも起こりうるものと言えます。

実際、つらく苦しい体験がくり返して頭に浮かんだり、過去のつらい出来事が、まさに今、起こっているように感じたり、苦しみ、葛藤し、悩むなかで、今までにない考えや忍耐がうまれ、心の問題を修復します。そしてそれが人生の一部としてつなげられたとき、「成長」となったといえます。

一歩踏み出すためには?
子どもがひきこもった状態である事で、親は「なぜ?」という疑問と同時に怒りや、世間への恥ずかしさ、育て方への後悔や罪悪感、将来への不安、無力感におちいる事があります。これらもトラウマと考えれば、子どもへの関わりをもつすべての親にとって、どうしたらそこから一歩踏み出せるかが大きな関心事であると思います。

そこで親は、今の状態をふまえて、「(本人は)何を考えているのだろう?」、「(本人は)不安ではないのだろうか?」、「自分はこれからどうすべきなのか?」、という事に「自然に」かかわっていく事で、トラウマ的体験が人としての成長に変わると考えられます。

そして、体験を好転させるための具体的な方法として、「本人と話す・かかわる」、「関係者と話す」、「自分の気持ちを理解できる人に話す」、「同じような立場の人の話を聞く」、「講演や研修会に行ってみる」、「カウンセリングを受ける」などが効果的であると言えます。

グループトーク
最後に、参加された方同士が小グループになって、つらく苦しい体験によって自分自身の何が変わったのかを話し合いました。人は生きている以上、さまざまな事が起こり、自分の力ではどうにもできないショックな体験をします。ただ、人間にはそれらを成長に変えていく力を備えています。

参加された親御さんが同じような思いを抱えた人と話すなかで、つらく苦しい体験から子どもとの関わりをあらためて考えるなど、親自身が変わった事をポジティブに成長と認識しなおし、ひとりで抱え込まず、みんなで考えていこうと確認しました。

今の親は、子どもには苦労のない環境を整えようとしがちですが、本来、人は痛みを抱えて、分かち合い、癒される事でたくましく育つのです。親がしてやれる事をあえて子供にしない。手に入らない、思うようにならない事を通じて学ぶ貴重な機会を子供から奪う事がないような配慮が親には必要という事など、今日のセミナーでは親としての本人との向き合い方をたくさんお話しいただきました。

参加された皆さんの感想
子どもの事だけでなく、自分の事も考える良い機会になりました。自分も成長していると思った。
グループの話のなかで、「夫婦で話が出来ないのもひとつの原因かも」と言われていたが、今後は夫とも話をしっかりしていきたい。
子どもとのやりとりの中で、二次被害の意識を持たせない事が大切だという視点が必要だと気づきました。

この記事の組織名や役職などの情報は、公開当時(2013年10月4日)のものです。予めご了承ください。