2013年2月 保護者セミナー報告

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日時
平成25年2月16日(土)
演題
ひきこもりは病気じゃない
講師
敦賀短期大学教授 龍谿乘峰氏
報告内容

2月の親サポは、敦賀短期大学の龍谿乘峰(たつたにじょうほう)先生を講師にお招きして、「ひきこもりは病気じゃない」というテーマでお話していただきました。

まず、先生は2000年前後に、若者の社会不適応ということが言われるようになったことにふれ、この頃、厚生労働省が「ひきこもり、とじこもり」という表現で、その社会不適応の若者を言い表すようになったことに触れ、その定義づけにも触れました。この言葉は、ある状態を指す用語であり、定義の一つに、家族以外の人と6ヶ月間以上親密にない状態を指す現象という意味があります。また、その他に、病気等が認められる場合もありますが、基本的には、外部の刺激を受けなくなることになるという特徴があるとのことです。

例えば、風邪をひくのは様々な要因があり、どの要因からも風邪という病気をひき起こすことになるという「等結果性」という言い方があります。同じようにひきこもりという状態も、様々な要因によって引き起こされるのですが、ひきこもり状態が長期化することでも、様々な症状を引き起こす場合があると言います。例えば、人が怖いと感じるとか、人と話さなくなることが見られます。

先生の若い頃の経験で、関東に行くと福井という土地を知る人は少なく、福島県や福岡県と勘違いされることが多々あったそうです。また、嶺北地域の言葉は、アクセントがなく、箸や橋という言葉も同じ発音であるため、他県の人には言葉が通じないという事があります。その頃、先生は人と話すことが億劫になり、駅で切符を買うのも嫌で、帰省すらしなくなったこともあったそうです。こういった地域的な文化の違いが、人との関わりを避けさせることもあるという例です。また、家族の親密度が高いというのも福井県の特徴で、家族間の依存度が高いことが挙げられるそうです。このことが、結果としてサポステなどの支援機関に保護者の方の相談が多い理由と言えるのかもしれません。

そこで先生は本人(若者)支援のために、その家族構成全体のバランスから支援することを心がけています。一つの事例を挙げ、本人を支援するため、父親の悩み事に焦点を当て、その父が頼りにしている県外の姉に協力を得て、本人を買い物に連れ出すことに成功し、自立した話をされました。この事例をきいていた参加者から質問が挙がり、親の本人とのかかわり方の是非について、先生との間で意見が交わされました。このやり取りの中で、先生は家族の中にヒントがあることを指摘され、親の都合で関らないことが大切であると念を押されました。

親御さんからの訴えを聞いていると、親子の間の価値観の違いから衝突が起きているように見受けられました。例えば、親として心配だからといって、本人の部屋に無断で入ることは、本人さんの心の領域を侵すことになる場合があります。また、本人さんが「人が怖い」と訴えることに対して「そんなことないって、怖くないよ!」といったような返答は、関係の悪化を招きます。

子供の部屋には本人を尊重して入らないとか、「今は人が怖いのね」と本人の気持ちを肯定することも大切だということです。先生は、ひきこもりから社会復帰するにも道程があることを説明し、ワークシート記入を通じて、わが子のひきこもり現象に対して、見つめなおす機会を設けました。率直な胸のうちが綴られ、皆さん、それぞれ苦心されている様子でしたが、先生のお話に共感できることもあり、安堵を感じた方、課題を再認識した方など、有意義な時間をすごせたのではないかと思われます。

参加された皆さんの感想
あてはまることばかりで、勉強になりました。
なんでも押えつけてしまうことで、大事なことまでダメにしてしまうということは、とても痛感しました。

この記事の組織名や役職などの情報は、公開当時(2013年3月29日)のものです。予めご了承ください。