2012年12月 保護者セミナー報告

日時
平成24年12月15日(土)
演題
人の生涯に渡る成長を考える
講師
福井大学教授 松木健一氏
報告内容

今回の親サポは、福井大学の松木健一先生にお越しいただきました。テーマは、「人の生涯に渡る成長を考える」です。親御さんにとっては大きな関心です。まず松木先生は、先に起こった複雑な家族集団による「尼崎事件」をあげ、街中でどうしてひとこと助けを求められなかったのか、なぜ家族間でこうした事件がおこったのかと投げかけました。

なすがままになる、そこから抜け出せなくなることは不思議なことではなく、心理学でいう「学習された無気力」は、今私たちが抱えている問題と共通点があることを説明されました。「やってもダメだ・・・」というくり返しは、やること自体が嫌になって、何もアクションを起こさず、じっとしているのが楽という状態に陥らせます。

先生はその状態を分かりやすく説明するのに、子どもが学校でテストを受ける際の出来不出来について、何に原因を帰属させているかを例にお話しされました。そのなかで、テストの成績がよかった子は、能力や努力など自分の内的な力に帰属させる半面、テストの成績が普段悪い子が、たまたまいい成績をとっても、「たまたま試験が易しかった、たまたま運がよかった」という外的な力に帰属させてしまい、成功体験が一過性のものになってしまうとお話されました。

そうした状態から抜け出す手掛かりとしては、「自分の物語を描き出せること」であり、自分だけの物語を描くには、過去を振り返り、現在を見つめ直して未来の自分を創り出していく力をつけることであり、物語は聞いてくれる人がいてこそ物語ることができる。

子どもが成長すると同時に親自身も成長していくものであり、子どもとの距離をおいてご自身のことも考える時間をもつことの大切さを伝えられました。

「もう、何をやってもダメだ」という失敗体験の中の無気力状態から自分の物語を作る過程には、「世話して育てる」から「聞いて育てる」へ、「育てる」ためには良き「聞き手」が必要で、先生の実体験から「誰かが聞いて、その話に意味づけする必要性」を話されてから、サポステをそのような機会に利用してみてはと勧められました。

後半の残りの時間は、参加者と先生、スタッフが輪になって、参加者の皆さんの今の状態や具体的な悩みを伺いました。そのなかで、「子どもは子どもの生き方がある。自分は自分らしく生きて自分の楽しみも大切にしている」という親御さんがいらっしゃいました。

また「今は買い物など自分の用事で出かけることはできても、そこから先がなかなか」という方には、本人が定期的に出かけていることや、今 出来ていることをポジティブに考えることを勧められました。

特に自分の不安を子どもに向けてしまうことはよくないこと、参加者からの話で「たまには自分が病気になって、どうなることかと思ったが、家事を手伝ってくれてたいへん助かったこと」から子どもが出来ることを増やしていくことが有用であるとお話しされました。

時間の制限はありましたが、先生は親御さんが常日頃、悩み感じていることにおひとりひとりの話に耳を傾けられ、丁寧にコメントをされました。そこからも「聞く力」の大切さを学ばせていただいたセミナーでした。

親サポは保護者の方を対象としたセミナーです。ただ大勢を相手としたセミナーなので、ひとり一人の方の悩みに個別にお応えすることは向いておりません。是非、定期的なセミナーの参加や日頃の相談日をご利用ください。親御さんのみの相談も個別に受け付けております。そして、相談内容によっては、適切な関係機関を紹介させていただくことや連携した支援をさせていただくことがあります。

参加された皆さんの感想
今回、夫婦で初めて参加しました。漠然としていた親子との関わりが整理出来ました。
何故、やる気がおこらないか?やる気が出るにはどうしたらよいか?とても勉強になりました。
皆さんの色々な苦労話やコミュニケーションがとれてとても参考になりました。

この記事の組織名や役職などの情報は、公開当時(2013年2月4日)のものです。予めご了承ください。