2012年7月 保護者セミナー報告

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日時
平成24年7月14日(土)
演題
今いっぽを踏み出すために―――こころの窓をひとつ開いてみよう
講師
敦賀短期大学教授 龍谿乘峰氏
報告内容

今回は、初めて嶺南地域での親サポを開催しました。会場はサテライトのある「若狭ものづくり美学舎」で行い、5名の方が参加されました。

なにかしら希望や期待があり、実現する可能性があるにもかかわらず、うまくいかないということがあると思います。私たちがいつも見える世界は、視点も変えると見方も変わります。

普段、私たちが目の前にある人や物事を見て「こうだ!」と捉え(ラベルを貼り)がちです。こうした思いや感じがその歩みをつまずかせていることがあり、そのラベルをはがし、また貼りかえることで、「悪い、困った」と厄介者扱いされていたことがかけがえのない素晴らしい宝物になることがあります。

今回のセミナーでは、龍谿先生が実際に関ったカウンセリングを通して“足下のつまずき・ひっかかり”から一歩前進しようと踏み出そうとする若者の4つの事例を紹介されました。そのいずれのケースでも共通していたのが、親と子、セラピスト(龍谿先生)の間で、何かを介在させて、具体的な形で、気持ちや感情を共有してカウンセリングを進めたことでした。

1つ目は、セラピストが、「父・弟の仲をどう表現しますか」と提案しました。すると母は、「悪く、異常」と捉えていましたが、それを長男は、弟の「自立」の現れと感じ取っていました。その認識の違いを通じて、成長に必要な親子関係があるのだとの新たな捉え直しが出来ました。

2つ目は、ひきこもりがちな大学生の例です。本人に実家の間取りを書かせ、家族一同で具象化された住環境の状態について、父、母が本人の部屋についてコメントします。母は、「北向きで、西日が入るから、過ごしにくいね」と言い、本人と同じように兄がいた父は、「自室があるだけでも十分だ」といいます。すると本人は、今まで家族に言えなかった自分の思いを言い、実際に希望に沿う形で部屋変えをしました。自分の居場所を確保して周囲が本人の意思を尊重することで、わだかまっていたコンプレックスが解消され、大学でも新たな出発が出来ました。

3つ目のケースは、親と本人の気持ちを、数値で示すことで、自分の立ち位置がどこかを、物差しのポイントで示し(スケーリング)意識の違いをはっきりさせました。そして、セラピストが「ポイントを下げている要因は何か?」と問うと、本人は、父の態度であると告白し、「それを上げるためには何が必要か?」と問うと、を父への希望を語りました。その過程で、ポイントを下げる要因が単なるネガティブな思いではなく、家族の愛を再確認し、次への一歩を確認することが出来ました。

最後のケースは、モデル人形を使って自分の気持ちを投影するものです。若者は今の状態、過去の状態を人形で表しました。そして、セラピストが未来の姿、希望の姿を示すように諭すとある“ひっかかり”があると答えます。人形の足元に小石を置き、“ひっかかり”を表現したあと、その先にあるものをイメージさせると「ひとり旅」という言葉が出てきました。人形を介在させて、その未来と同時に若者をとりまく出来事を具象化することで、心の状態と出来事を重ねていきますが、未来への一歩は自身の気づきから引き出されたものでした。

その他、家族の引越しなどのイベント(あるいは、トラブル)と、本人の気持ちの変化の関係を図式化してみても、双方の影響を見て取れることもあります。これらのケースに共通点していえることは、“つまずき”を一歩下がって見ること、見方を変える、自らに気づき自律性を取り戻せたときに、次の一歩を踏み出す力になることがあるということです。

龍谿先生のお話を通して、カウンセリングにおいて、何かを介在させることは、親子、もしくは家族同士の共通理解を促し、それぞれの思い込みや混沌とした思いに、一石を投じる役目を果たします。その気付きにより、よりよい生き方へ方向付ける支援といえるのではないかと思いました。

嶺南地域では、今年度から、若狭ものづくり美学舎でサテライトを開所しています。毎週火曜日のみの開所ですが、いっぽが踏み出せない方のご利用をお待ちしております。

参加された皆さんの感想
事例を出しての話だったので、変化など良く分かった。
子どもに対する親としての対応や各プラン等のやり方が勉強になりました。

この記事の組織名や役職などの情報は、公開当時(2012年8月23日)のものです。予めご了承ください。