2012年2月 保護者セミナー報告

日時
平成24年2月18日(土)
演題
ひきこもり支援の例と工夫
講師
福井大学准教授 細田憲一氏
報告内容

2月の親サポは、17名の方が参加されました。

細田先生は、ひきこもりは、本人にとって必要な時期であるということ、そして、そこで大切なのでは身近な人たちがその状態を受け入れることであり、意味づけることであり、効果化するということであって、親御さんの姿勢が、とりわけ大切であることを述べました。

一般的にひきこもりのプロセスは3つに分けられ、ひきこもりに向かっていく往路期、ひきこもっている滞在期、社会参加する前の帰路期にわけられるそうです。そこで、大学で対応してきた、ある不登校になった学生の実際の相談を例にとって、そこから保護者としての姿勢を学べたら…という趣旨で、お話をされました。

本人がなぜ不登校になったかはわかりませんが、不登校になった当初は、親に実家に連れ戻されました。しかし「親を拒絶している自分は許せない!」ということで、アパートに戻ったとのことです。それ以降、母親や兄弟の訪問を拒否し続けました。(往路期) その後、両親が大学に相談し先生が対応したそうです。

そのときの母親の心境は、拒否された困惑と悲しみとともに見通しがつかない不安が続いていました。やがて、食べ物の差し入れや仕送りも拒否し、父親は「生きていてくれたらいいじゃないか...。この時期に迷いきって欲しい」と思うようになりました。

1年後にやっと銀行口座から引き落とした形跡があり、「やっと甘えてくれました(喜)」と父親の報告がありました。2年目に入り、訪問時にアパートのドアが大きく開き、差し入れを本人は「イイデス」と断ったが、母親は「ありがとう」と言葉がでたそうです。その後、部屋の中に両親を招きいれ会話ができたそうです。

「大学院、どうする?」という父の問いかけに、本人はもう少し整理する時間が欲しいのや」と返事が返ってきて、父は「そうか、判った。できることは何でもしてやるぞ!」と言い、部屋を出た後、声をあげ泣いたそうです。(滞在期)

数ヶ月後、訪問した母親が部屋に入ることを許し、雪で交通事情が悪かったことなどの会話をし、本人からはやさしい言葉が返ってきたそうです。そして、自分の意思で実家に戻り、家族との安定した生活を再開しました。その後に就職活動をし、働くようになったとのことです。(帰路期)

先生は、ひきこもりの心境は、生きていて良いのか悪いのかというレベルで悩んでいるといいます。この例から両親や家族の心構えや関わり方が変わることで、それぞれの段階の期間が短くも長くもなるのではないかと皆さんに問いかけました。

この両親は、心境に変化を通じて、本人のペースが大切だと改めて気づいたのです。また、本人がこの時期になされた心理的な作業は、愛憎などのアンビバレントな心理をまとめる力をつけたのであり、この力は社会に出て行くには、重要な力だと説明されました。

参加した皆さんは、この両親の心境の変化に、自分を重ね共感する方、ご自分のお子さんの状態について、質問される方もいました。その中で、先生は、「自立のスイッチは、甘えられるときに入るもので、相互に求められることが望ましいことです」と助言しました。また、食べ物に留意することでも、ひきこもりからの帰路を良好にできると考えていますとも仰っていました。

参加された皆さんの感想
とてもわかりやすい説明で、必要な時期であると受入れていきたいと思います。
自分が出来ることをしっかり続けていきたいと感じました。
待つことが大事ということを再確認しました。

この記事の組織名や役職などの情報は、公開当時(2012年4月2日)のものです。予めご了承ください。